ADHD障害者手帳がもらえない?知恵袋の事例と審査通過の秘策
こんにちは。発達グレーとライフデザイン手帖、運営者の「ひかり先生」です。
自分はADHDではないかと感じて病院へ行ったものの、いざ申請となると障害者手帳がもらえないという現実に直面し、Yahoo!知恵袋やSNSで似たような境遇の人を探してしまうことはありませんか。仕事をしているから無理なのか、あるいは診断書の内容が基準に満たないのか、その理由がわからずに不安を感じている方は非常に多いですね。精神障害者保健福祉手帳の3級は、見た目にはわかりにくい生きづらさが対象となるため、認定のハードルが高く感じられることも事実です。この記事では、申請が却下されてしまう原因や、審査を通過するためのポイントについて、私の経験や知識をもとにお話しします。
- 知恵袋でよくある手帳申請の失敗事例と原因
- 仕事をしていても認定されるための重要な条件
- 医師に正しく困りごとを伝えて診断書をもらうコツ
- 審査に落ちた場合の再申請や不服申し立ての方法
知恵袋で見るADHDが障害者手帳をもらえない理由

インターネット上の掲示板や知恵袋を見ていると、ADHDの特性に苦しんでいるのに手帳の申請が通らなかったという切実な声がたくさん見つかります。「日常生活もままならないのに、なぜ?」と憤る気持ち、本当によく分かります。なぜ、これほどまでに「もらえない」というケースが後を絶たないのでしょうか。ここでは、審査において特に壁となりやすいポイントを深掘りしていきます。
精神障害者手帳3級の判定基準と厳しい現実
成人してからADHDの診断を受けた場合、精神障害者保健福祉手帳の等級は、一般的に「3級」が検討されることがほとんどです。しかし、この3級の壁が意外と高いのが現実です。
3級の定義は、公的な基準において「日常生活や社会生活に一定の制限がある状態」を指すとされています。これが非常に曖昧で、当事者が感じている主観的な「生きづらさ」と、行政が客観的に判断する「障害の程度」に大きなズレが生じやすいんです。1級や2級は、自立した生活が困難だったり、著しい制限があったりと、ある意味で分かりやすい基準があるのですが、3級は「働けているし、会話もできるなら大丈夫ではないか」と判断されがちです。
ADHD単独での認定について
ADHD単独の診断では、よほど重篤な二次障害(うつ病など)を併発していない限り、2級以上の認定は難しい傾向にあります。そのため、3級の認定ラインである「配慮や支援があれば社会生活が送れる」という状態をいかに証明できるかがカギとなります。
曖昧な「社会生活の制限」をどう証明するか
行政の視点では、「制限がある」という状態を医学的な根拠に基づいて判断します。単に「辛い」という感情だけでは審査を通りません。厚生労働省が定める判定基準には、食事や身辺の清潔、金銭管理など具体的な項目が挙げられており、それらがいかに損なわれているかが問われます。
(出典:厚生労働省『精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について』)
仕事してると申請が通らない誤解と就労の実態

よく「フルタイムで正社員として働いていると、手帳はもらえない」という噂を耳にしますが、これは必ずしも正しくありません。実際にフルタイムで働きながら手帳を持っている方はたくさんいます。
ただ、審査の現場では「就労できている=社会生活能力がある」というバイアスがかかりやすいのも事実なんですね。ここで重要になるのは、「働けているかどうか」という結果ではなく、「働くためにどれだけの犠牲を払っているか」というプロセスです。
過剰適応という罠
ADHDの方の中には、職場では気を張り詰め、自分の特性を隠して必死に周りに合わせる「過剰適応」の状態にある方が少なくありません。職場ではミスをしないようメモを大量に取り、休憩時間も返上して確認作業をしているかもしれません。その結果、業務は何とか回っていても、帰宅後はエネルギー切れで何もできず、お風呂にも入れずに朝を迎える…なんてことはありませんか?
そうした「ギリギリの状態」であることを正しく伝えないと、審査側には単に「問題なく就労できている人」と評価されてしまい、不認定につながってしまうのです。
診断書の生活能力評価が低くて審査落ちする謎

手帳の審査で最も重視されるのは、医師が書く「診断書」です。特にその中の「生活能力」の評価項目が合否を分けます。ところが、ここで「実際の困りごとよりも軽く評価されてしまう」というミステリーが多発しているんです。
私たちADHD当事者は、診察室のような静かな環境で、医師と一対一で話すときは、意外としっかり受け答えができてしまうことが多いんですよね。これを専門用語ではありませんが、「診察室のパラドックス」なんて呼んだりもします。
医師が見ているのは「診察時のあなた」だけ
医師は診察時の様子を見て「身なりも整っているし、会話も流暢だ」と判断し、診断書の「身辺の清潔」や「意思伝達」の項目を「問題なし(dまたは1など)」としてしまうことがあります。実際には家がゴミ屋敷状態で足の踏み場もなかったり、衝動的な発言で友人関係が破綻していたりしても、それが医師に伝わっていなければ、診断書には反映されません。
診断書のコピーは必須
医師に作成してもらった診断書は、役所に提出する前に必ずコピーを取っておきましょう。自分の現状がどう評価されているかを知ることは、次回の更新や再申請の際に非常に重要な情報となります。
初診日から6ヶ月待たずに申請して却下される
これは制度上の絶対的なルールなのですが、精神障害者保健福祉手帳は「初診日から6ヶ月以上経過」していないと申請できません。
ADHDは先天的な脳の特性なので、「子供の頃からずっと困っているんだから、すぐに認めてほしい」と思うのは当然です。私も診断を受けた直後は「すぐに手帳をもらって楽になりたい」と思いました。しかし、役所のルールでは「その病院で初めてADHDとして診察を受けた日」から半年間を、症状が固定するかを見極める期間として定めています。
転院した場合の「初診日」の考え方
もし病院を変えている場合は、「ADHD(または関連する精神症状)」で初めて受診した日が初診日となります。現在の病院に通い始めてから6ヶ月経っていなくても、前の病院の初診日から通算できる場合がありますので、必ず確認しましょう。
どれだけ生活が破綻していても、初診から5ヶ月と29日目で申請したら、問答無用で却下されてしまいます。この6ヶ月間は、ただ待つのではなく、通院実績を積みながら「困りごとの実績」を記録する準備期間だと割り切るのが賢い戦略かなと思います。
医師にADHDの困りごとが伝わらない時の対策

では、どうすれば医師に本当の辛さを分かってもらえるのでしょうか。診察の短い時間で口頭だけで全てを伝えるのは、私たちのような話が飛びやすいタイプには至難の業です。
私がおすすめするのは、「申立書」や具体的なメモを持参することです。「よくミスをする」と伝えるのではなく、以下のように数値や具体的なエピソードを交えて紙に書いて渡しましょう。
医師への伝達メモ具体例
- 金銭管理:「衝動買いでカードローンが◯◯万円あり、毎月返済を滞納して督促状が届く」
- 不注意:「ガスの火を消し忘れ、ボヤ騒ぎになりかけたことが今年で2回ある」
- 遂行機能:「片付けができず、行政からゴミ屋敷として注意を受けた」
- 対人関係:「上司の話を遮ってしまい、部署異動を命じられた」
特に、厚生労働省の判定基準にある8つの生活機能(食事、清潔、金銭管理、通院、対人関係、安全保持、社会手続き、趣味)に沿って、自分の「できないこと」を整理しておくと、医師も診断書の該当箇所を書きやすくなりますよ。
ADHDで障害者手帳をもらえないと知恵袋で嘆く前に

申請が通らなかったり、周りから「無理だ」と言われたりすると落ち込んでしまいますが、そこで諦めるのはまだ早いです。手帳を持つことの意味や、万が一ダメだった時の次の一手を知っておくことで、冷静に対処できるようになります。
手帳取得のメリットとデメリットや税金の控除
苦労して手帳を取得する最大のメリットは、やはり税制上の優遇と就労支援でしょう。経済的な負担が減るだけでも、精神的な余裕が生まれるものです。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 税金の控除 | 所得税や住民税の障害者控除が受けられ、年間で数万円〜十数万円の手取りが増える可能性があります。自動車税の減免がある自治体も。 |
| 公共料金の割引 | 携帯電話料金の割引や、自治体によってはバスや地下鉄の運賃割引があります(JRは精神障害での割引が導入され始めましたが、条件があります)。 |
| 就労の選択肢 | 障害者雇用枠での応募が可能になり、合理的配慮を受けながら働く道が開けます。また、失業保険の受給期間が長くなるケースもあります。 |
| 各種サービス | 映画館や美術館、レジャー施設の入場料割引などが受けられ、外出のハードルが下がります。 |
一方で、デメリットとしてよく心配されるのが「会社にバレるのではないか」という点ですが、自分で言わない限り会社に通知がいくことは基本的にありません。ただし、年末調整で障害者控除を申請すれば経理担当者には知られることになりますので、知られたくない場合は確定申告で対応するなど、使い分けが可能です。
障害者枠での就職活動と一般就労の壁を比較

「障害者手帳をもらえない」と悩む背景には、今の職場での限界を感じていることが多いのではないでしょうか。一般就労では、どうしても「周りと同じスピード・質」を求められ、ADHD特有の不注意やマルチタスクの苦手さが評価を下げてしまいがちです。
手帳を取得して障害者雇用枠で働く場合、企業には法律上の「合理的配慮」を提供する義務が発生します。
- 口頭だけでなくメールやメモで指示をもらう
- 聴覚過敏への配慮として、静かな席を用意してもらう
- 業務内容をマニュアル化してもらう
こうした配慮を得ることで、持っている能力を発揮しやすくなるケースは非常に多いです。手帳は、そうした「自分を守るためのパスポート」になり得るんですね。
審査に落ちた時の再申請方法と不服申し立て

もし申請が「不認定(非該当)」になってしまっても、それで終わりではありません。結果に納得がいかない場合は、行政に対して「審査請求(不服申し立て)」を行う権利があります。ただし、これは手続きが複雑で時間もかかるため、ハードルが高いのも事実です。
現実的なのは「再申請」
より現実的で一般的な方法は、資料を整えてからの「再申請」です。前回の診断書で何が足りなかったのかを分析し、例えば主治医を変えてセカンドオピニオンを求めたり、日常生活の困難さをより詳細に記した文書を添えたりして、改めて申請にトライすることができます。
症状が悪化したタイミングや、環境が変わって適応できなくなったタイミングで再申請することで、認定されるケースも多々あります。一度ダメだったからといって、一生もらえないわけではないんですよ。
申請に必要な初診日の確認と待機期間の重要性
先ほどもお話しした「6ヶ月ルール」ですが、起算点となる「初診日」の確認は非常に重要です。転院を繰り返している場合、一番最初に「精神科や心療内科を受診した日」が初診日となるケースが多いです。
この待機期間中に、ただ漫然と過ごすのではなく、お薬手帳や通院記録をしっかり残し、日記などで「どんなトラブルがあったか」を記録しておきましょう。例えば「財布を無くした日」「約束を忘れてしまった日」などをカレンダーに印をつけておくだけでも立派な記録です。これらが後々、審査を有利に進めるための強力な証拠になります。
障害年金と手帳の等級判定の違いと同時申請
よく混同されがちなのが「障害者手帳」と「障害年金」です。これらは全く別の制度で、審査を行う機関も基準も異なります。
手帳は自治体(都道府県・政令指定都市)が認定しますが、年金は日本年金機構が認定します。そのため、「手帳は3級だけど、年金はもらえない(あるいはその逆)」ということも起こり得ます。手帳は3級でも、就労状況や生活能力の著しい低下が認められれば、障害厚生年金3級を受給できる可能性があります。
診断書の内容には共通する部分も多いため、医師と相談して同時に準備を進める方もいらっしゃいます。年金の方が審査はより厳格ですが、生活を支えるための経済的な基盤が必要な場合は、社労士などの専門家に相談してみるのも良いでしょう。
知恵袋にあるADHDの手帳もらえない悩み解決へ

Yahoo!知恵袋などを見ると、手帳取得の難しさに直面して心が折れそうになっている方がたくさんいます。でも、そうした情報の多くは「説明不足」や「タイミングの誤り」によるものです。
「ADHDだから手帳はもらえない」のではなく、「生活への支障が客観的に伝わっていない」ことが最大の原因であることが多いのです。まずは、ご自身の困りごとを具体的な言葉にし、医師としっかりコミュニケーションを取ることから始めてみてください。
手帳はゴールではなく、あなたがあなたらしく生きるためのスタートラインに立つためのツールです。正当な権利としてサポートを受けるために、この記事が少しでもあなたの背中を押すきっかけになれば嬉しいです。
※本記事の内容は一般的な情報に基づいています。自治体により審査の運用が異なる場合があり、認定を保証するものではありません。正確な情報は各自治体の窓口や専門家にご確認ください。
